2007年 10月 10日
『シフト』のマルセイユ公演はとても面白かった。 というより、困った。 自分の演出より面白いと思うところがかなりあった。 公演の形態はリーディングと普通の上演の間で、 テキストは持ったり、持たなかったり、俳優の動きにはかなり演出が施されている状態。 セドリック・グーメロンという若い?(年齢を聞かなかった)演出家と演劇学校の生徒たちのチームであった。 『シフト』は小さい特殊なコミュニティの話で、血縁、地縁を描いてもいるので、もしかしたらシリアスに捉えられているかも?と危惧していたが、それは杞憂に終わった。 発語のリズムは速く、力強い。かといって、俳優間のコミュニケーションは成立している。そして、それをぶった切るように新たな人物が現れる。「間」も、もったいつけたような、意味ありげな感じではなく、相手に飛びかかる前のような緊張をはらんだものとして表現されていた。もちろん、勢いだけでなく、弛緩するシーンもあって、緩急のバランスがとても計算されていた。 「記号」であることと「生もの」であることの融合というか分裂。 二回公演だったが、観客の反応も良かった。 一回目は俳優の友達が多かったせいか、笑い過ぎだったと思う。二回目は観客が最後まで芝居に集中してるように感じた。 翻訳もかなり正確なものだったと思う。 ユタカ・マキノさんに感謝。 自分の戯曲の上演を褒めていても気持ち悪いのだけど、素直に嬉しかったのだからしょうがない。演出に関しては、正直、とても勉強になった。「あ、こうすれば良かったのか!」と「こういうふうにできるならこうするのもありか」の連続で、演出家と戯曲の距離の取り方を教えてもらった気がする。自分では戯曲と距離を取って演出しているつもりでも、まだまだ甘いなと。
by shu-mats
| 2007-10-10 13:02
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