サンプル日記

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2007年 10月 17日

『カロリーの消費』について 2

『カロリーの消費』の内容について色々と書こうと思っていたのだけど、
作者が一つの解釈を提示しすぎるのも何か違う気がしてきた。

この作品がどのように受け取られたかは様々なレビューを読んで
わかってきた。
人物造形の類型化についてはわりと指摘される覚悟をしていたのだけれど、
「人間が描けてない」とヒステリックに反応するレビューは少なかった気がする。
良かった。

「もっと類型化してもいい」という反応はあった。
しかし、そうすることで失われるものもあると思う。
「意思」なんか持ってないのに、持ってると思いこんでそのように振る舞うことの痛さと説得力の強さを同時に見せたいから。
さらに類型化すると、最後の説得力の強さを見せづらくなる気がする。
(類型化のさじ加減は難しい。説得力を持たせるには、「人物の奥行き」を求められるので)

wonderlandというレビューサイトにレビューが載った。
自分がやりたかったことの核心がほぼ伝わっていることがわかって、
とても嬉しかった。

読んでみてください。
http://www.wonderlands.jp/index.php?itemid=735
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by shu-mats | 2007-10-17 14:17
2007年 10月 10日

マルセイユ

『シフト』のマルセイユ公演はとても面白かった。
というより、困った。
自分の演出より面白いと思うところがかなりあった。
公演の形態はリーディングと普通の上演の間で、
テキストは持ったり、持たなかったり、俳優の動きにはかなり演出が施されている状態。
セドリック・グーメロンという若い?(年齢を聞かなかった)演出家と演劇学校の生徒たちのチームであった。
『シフト』は小さい特殊なコミュニティの話で、血縁、地縁を描いてもいるので、もしかしたらシリアスに捉えられているかも?と危惧していたが、それは杞憂に終わった。
発語のリズムは速く、力強い。かといって、俳優間のコミュニケーションは成立している。そして、それをぶった切るように新たな人物が現れる。「間」も、もったいつけたような、意味ありげな感じではなく、相手に飛びかかる前のような緊張をはらんだものとして表現されていた。もちろん、勢いだけでなく、弛緩するシーンもあって、緩急のバランスがとても計算されていた。
「記号」であることと「生もの」であることの融合というか分裂。
二回公演だったが、観客の反応も良かった。
一回目は俳優の友達が多かったせいか、笑い過ぎだったと思う。二回目は観客が最後まで芝居に集中してるように感じた。

翻訳もかなり正確なものだったと思う。
ユタカ・マキノさんに感謝。

自分の戯曲の上演を褒めていても気持ち悪いのだけど、素直に嬉しかったのだからしょうがない。演出に関しては、正直、とても勉強になった。「あ、こうすれば良かったのか!」と「こういうふうにできるならこうするのもありか」の連続で、演出家と戯曲の距離の取り方を教えてもらった気がする。自分では戯曲と距離を取って演出しているつもりでも、まだまだ甘いなと。
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by shu-mats | 2007-10-10 13:02
2007年 10月 03日

『カロリーの消費』について 1

今、マルセイユにいて
これから『シフト』の上演がある。
とても楽しみ。

少し時間が空いてしまったが、
『カロリーの消費』について自分なりに考えていたことを書いてみたい。

・チャコの存在

『カロリーの消費』という作品は、チャコという歌を探す女の追憶劇の体裁で始まる。
だから超越的存在であると同時に劇世界(物語)にも登場する。
しかし、彼女は劇世界の中ではほとんど相手にされない。

「歌を探す」という行為は彼女の唯一の現実世界との接触方法であり、
周りの世界が歌にあふれていると信じることによって自分の存在を支えている。
そしていつか自分の歌(本物の歌)を歌おうと考えているのだが、
いつまでたっても自分の歌は見つからない。
最後に、彼女はどこかで聞いたことのあるような歌を鼻歌のように口ずさみ、
自分なりの物語を語り終える。

彼女は歌を見つけたわけではない。
しかし、たとえ自分の歌(本物の歌)でなくても本物だと思いこもうとする滑稽さと切実さは
希望に繋がると、僕は考えた。

チャコの存在と劇世界(物語)との違和感をよく指摘された。
ただ、これは最初から想定していたことであって、
つまり、彼女は劇世界(物語)を支配できないのだ。
世界は彼女を置き去りにして勝手に進行する。
だから、彼女の追憶の劇であると言いながらも、そう思いこんでいるのは彼女だけである。

今回はチャコについて書いてみたけれど、もう少し別の視点からも書いてみようと思う。
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by shu-mats | 2007-10-03 00:16