2007年 10月 03日
今、マルセイユにいて これから『シフト』の上演がある。 とても楽しみ。 少し時間が空いてしまったが、 『カロリーの消費』について自分なりに考えていたことを書いてみたい。 ・チャコの存在 『カロリーの消費』という作品は、チャコという歌を探す女の追憶劇の体裁で始まる。 だから超越的存在であると同時に劇世界(物語)にも登場する。 しかし、彼女は劇世界の中ではほとんど相手にされない。 「歌を探す」という行為は彼女の唯一の現実世界との接触方法であり、 周りの世界が歌にあふれていると信じることによって自分の存在を支えている。 そしていつか自分の歌(本物の歌)を歌おうと考えているのだが、 いつまでたっても自分の歌は見つからない。 最後に、彼女はどこかで聞いたことのあるような歌を鼻歌のように口ずさみ、 自分なりの物語を語り終える。 彼女は歌を見つけたわけではない。 しかし、たとえ自分の歌(本物の歌)でなくても本物だと思いこもうとする滑稽さと切実さは 希望に繋がると、僕は考えた。 チャコの存在と劇世界(物語)との違和感をよく指摘された。 ただ、これは最初から想定していたことであって、 つまり、彼女は劇世界(物語)を支配できないのだ。 世界は彼女を置き去りにして勝手に進行する。 だから、彼女の追憶の劇であると言いながらも、そう思いこんでいるのは彼女だけである。 今回はチャコについて書いてみたけれど、もう少し別の視点からも書いてみようと思う。
by shu-mats
| 2007-10-03 00:16
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